ドレン処理について

コンプレッサーが動作している時に発生する水、それがドレンです。
ここでは、ドレンについて説明をします。
ドレン水って何?
JISによると「蒸気圧系の蒸気が復水したものや、空気圧系で分離した油水分」とあります。
蒸気が復水したものは、とても綺麗なのですが、空気圧系のドレンは大気中の塵や埃、油や錆等の不純物が多く混ざり合い、非常に汚くまた処分にも困るものです。
なぜ、ドレンが発生するのか
夏場、冷えた缶ビールを飲んでいると缶の外には必ず水滴がつきます。 また夏場の暑い中、車や家の中で冷房を効かせているとやはり窓ガラスが曇り水滴がつきます。
これらはコンプレッサーでドレンが発生するのと同じ理由に依るものです。 即ち空気が冷えると水が出る、つまり空気はその中に水分を含有しており、その含有量は空気の温度や圧力によって変化します。(表①、②参照)
ある温度・圧力下では飽和水分量は一定で、その与えられた条件下での飽和水分量を『湿度100%』といっております。
これを超える水分量、つまり湿度120%や150%といった過飽和状態では、空気中に含まれる水分は結露して水滴となります。
それゆえ缶ビールの周りに水滴が付くのも缶の周りの空気が冷やされることによって空気中の水分が過飽和となって水滴が付くのです。

(表1) 大気圧露点換算表
1℃単位の温度(℃) | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
10℃ 単位の温度 |
60 | 130 | 136 | 142 | 148 | 154 | 161 | 168 | 175 | 182 | 190 |
50 | 82.9 | 86.8 | 90.9 | 95.1 | 99.6 | 104 | 109 | 114 | 119 | 124 | |
40 | 51.1 | 53.7 | 56.5 | 59.3 | 62.3 | 65.4 | 68.6 | 72.0 | 75.4 | 79.1 | |
30 | 30.4 | 32.1 | 33.8 | 35.7 | 37.6 | 39.6 | 41.7 | 43.9 | 46.2 | 48.6 | |
20 | 17.3 | 18.4 | 19.4 | 20.6 | 21.8 | 23.1 | 24.4 | 25.8 | 27.2 | 28.8 | |
10 | 9.41 | 10.0 | 10.7 | 11.4 | 12.1 | 12.8 | 13.6 | 14.5 | 15.4 | 16.3 | |
0 | 4.85 | 5.20 | 5.57 | 5.96 | 6.37 | 6.81 | 7.27 | 7.76 | 8.28 | 8.83 | |
-0 | - | 4.53 | 4.22 | 3.93 | 3.66 | 3.41 | 3.17 | 2.95 | 2.74 | 2.54 | |
-10 | 2.36 | 2.18 | 2.02 | 1.87 | 1.73 | 1.60 | 1.48 | 1.37 | 1.26 | 1.16 | |
-20 | 1.07 | 0.983 | 0.904 | 0.831 | 0.762 | 0.699 | 0.641 | 0.587 | 0.537 | 0.491 | |
-30 | 0.448 | 0.409 | 0.373 | 0.339 | 0.309 | 0.281 | 0.255 | 0.231 | 0.209 | 0.190 | |
-40 | 0.172 | 0.155 | 0.140 | 0.126 | 0.114 | 0.102 | 0.0918 | 0.0824 | 0.0738 | 0.0661 | |
-50 | 0.0591 | 0.0528 | 0.0471 | 0.0420 | 0.0373 | 0.0332 | 0.0295 | 0.0261 | 0.0231 | 0.0204 | |
-60 | 0.0180 | 0.0159 | 0.0140 | 0.0123 | 0.0108 | 0.00944 | 0.00825 | 0.00721 | 0.00628 | 0.00547 | |
-70 | 0.00475 | - |
JIS Z 8806:2001より
(表2) 飽和水蒸気量
コンプレッサーからどのくらいのドレンが発生するのか?
では夏場37kwのコンプレッサーを動かした場合、どのくらいのドレンが出るのか計算してみます。
計算式:
(コンプレッサーで作られた圧縮空気に含まれる水分量)-(圧力下ドライヤー出口における圧縮空気中水分量)
37kWコンプレッサーから出る1時間当りのドレン量(圧力0.7MPa, 気温30℃の場合)
■ コンプレッサーで作られた圧縮空気に含まれる水分量

■ 冷凍式ドライヤーで作られた圧縮空気に含まれる水分量

1時間当たりのドレン発生量 合計 8.9L/時 - 0.5L/時 = 8.4L/時
ドレンの弊害
上記で見た通りコンプレッサーによって圧縮された空気には大量の水分が含まれております。このドレン(水分)には以下のような数多くの弊害があります。
- ◇ドレンによる配管・機器の腐食
- ◇ドレンとダストが結びつき、ラインフィルターを詰まらせる
- ◇ドレンとの接触により製品の品質を落とす
これらドレン(水分)による弊害を防ぐにはドライヤー等で圧縮空気の露点を下げることによって空気を乾燥化し、さらに出てきたドレンはトラップを使いこまめに機外に排出することが重要です。また排出されたドレンにはオイルや錆等のさまざまな不純物が混じっている為、これらの不純物に弱いフロート式のドレントラップではなく電磁式のドレントラップを使用することを推奨致します。
ドレンの形態・油分量
コンプレッサードレンは非常に不純物の多いものですが、特に問題になるのはやはり油分です。ドレンに混入している油分の組織は、浮上油・分散油・乳化水(エマルジョン)の3種類に分類出来ます。浮上油は油そのものの事で時間が経たなくても水との比重差ですぐに浮き上がり、分散油もある程度の時間が経過すれば比重分離して浮き上がります。しかしエマルジョンは普段は混じり合うことのない水と油が粒子レベルで強固に結合しており、たとえ長時間放置したとしても自然分離することはありません。分離させる為には何らかの化学的処置が必要となってきます。

なおドレン中に含まれる油分量は、圧縮機の油消費量によって大きく差が出てきます。
現行の新型圧縮機はオイルセパレーターエレメントの質が向上した事もあり、その吐出し空気に含まれる油量は約0.005cm3/m3となっております。(メーカーによって若干の違いはあります。)
これが旧型スクリュー機ですと約0.02~0.04cm3/m3と現行機より4~8倍も多くレシプロ機ですとさらにその油量は増加致します。参考としまして吐出し空気に含まれる油がすべてドレンとして排出された場合の数値を計算してみます。
なお、ドレン量の計算値、圧縮機の条件は「コンプレッサーからどのくらいのドレンが発生するのか?」と同じものを使用します。
■コンプレッサーから発生する年間平均ドレン量

※8.4L/時は夏場のドレン量です。年間平均を計算するためドレン係数50%を掛けます。
■コンプレッサーで作られた圧縮空気に含まれる油分量

■コンプレッサーから出るドレン平均油分濃度

※ドレン水油分濃度は、油混入率を100%として計算しています。
比重分離による前処理や、エアーに含まれたままドレンに油が混入しないこともあるため、実際の混入率は変化します。
ドレン処理
上記計算値の通り、排出されるドレンの油分の濃度は浮上油も含めますと数百~数千ppmにおよびます。また上記数値は夏場の水分が多い状態にての数値となりますので冬場湿気の少ない日等は上記数値の10倍以上の高濃度なドレン水が排出される事になりますから、ドレン水をそのまま外に排出致しますと非常に環境上の悪影響を与えることになります。それゆえコンプレッサドレンも次のいずれかを行う必要があります。
◆ ドレンを集めて産業廃棄物処理業者に有料で委託する。
◆ ドレン処理装置を導入し、規制値以下に処理して排水する。
さらに今日我が国では『水質汚濁防止法』によって規制され、「油分(n-ヘキサン値)5ppm以下」の基準値があります。従って各企業は工場排水のすべてをこの法律の基準値に合わせ、工場外に排出することが義務づけられております。
(参考HP : 群馬県高崎保険事務所環境部)

現在ドレン水は産業廃棄物として処理すると25円/L~50円/Lと大変コスト高になります。また現在環境保全の積極性が各企業に問われてる中、極力産業廃棄物は減らしていかなければなりません
そこで求められるのは低コストであり保守管理が容易、さらに2次産廃の少ないドレン処理機です。処理方法としては、すでに重力分離・ろ過・吸着・薬品・電解など数々の方式があります。しかし薬品・電解方式は初期設備費、保守管理、廃物処理等で多くの問題があり、重力分離・ろ過・吸着方式では、エマルジョンを規制値以下の清水にする事は困難です。
フクハラ製のドレンデストロイヤーは高性能の吸着分解式コンプレッサ専用のドレン処理装置として開発され、イニシャルコスト、ランニングコストともに安価で、さらに日常の保守管理もほとんどなく、また使用済みのフィルターは弊社にて引き取る為、2次産廃の発生はほとんどありません。そこでこのドレンデストロイヤーの処理方法を具体的に見てみたいと思います。
処理工程の解説
各圧縮機からのドレンを電子トラップⅡやスーパートラップにて排出させ、ドレン分離槽へ圧送します。
SD型・LSD型の場合これをドレン分離槽内にて滞留させ自然分離させた後、エマルジョン水をそのままフィルターへ圧送し、(L)AB槽のフィルターエレメントにて分解・油分吸着し、5ppm以下の清水として処理、排水致します。なお分離した浮上油は定期的に浮上油取出バルブより排出させます。SD型・LSD型が無電源仕様であるのはドレントラップから排出圧を効率的に利用して、フィルターへドレン水を送り込むための圧送力としているからであり、また最大の特長であると思われます。
PSD型は主に22kW以下の小型コンプレッサーのドレン処理を対象としており、電子トラップ等を最低1台取り付ける事によって、各コンプレッサーやドライヤーから排出されるドレン水を自動的に空気圧送によって分離槽に送り込み、自然落下方式にてドレンをフィルターで透過させて油水分離し、油分濃度5ppm以下に処理致します。SD・LSD型と同じく無電源仕様であり、またペール缶を利用して製造しておりますので廉価であるうえに非常に扱いやすいのも特長です。
ADP型の場合は主に対象とするのが約200kW以上の大型コンプレッサーであり、ドレンの排出量も多量である事から、ドレンの滞留時間を一定量保つのを目的にドレン分離槽は大型の別置きタイプとし、浮上油・分散油を効率的に補足するためにロープ状吸油材を分離槽に入れております。これによってドレンの流入時に対しポンプ吸引時のドレン中の油分濃度はかなり低減された状態でフィルターに送り込む事が可能になります。分離槽で滞留するのを前処理工程としますと、後処理工程になるのが本体であるADP型になり、ADP型はポンプにて分離槽からドレン水(エマルジョン水)を吸引し、A槽にて油吸着・B槽にてエマルジョンを破壊する事によってドレン水を5ppm以下の清水として処理、排水致します。
ドレン処理よく分かる説明
『ドレンとは何?』
ドレンについて語る為には空気中の水分、水蒸気について知らなければなりません。
空気中には水空気中には水分が含まれており、この水分が気体から液体に変化したものが、いわゆるドレンと呼ばれるものです。
空気圧系のドレンにはこの気体から液体に復水した物以外に大気中の塵や埃、油や錆びが混ざりあう為に非常に汚く諸々のトラブルの要因になるのです。

さてなぜドレンが発生するのでしょうか? 空気は温度が高いほど水が気体として存在可能です。温度が低くなるほど空気は乾燥化します。

ある温度下での水蒸気の保有量の上限を飽和水蒸気量と呼びます。
飽和水蒸気量はいわゆる相対湿度が100%である事を示しており、これを超える水分量、つまり湿度120%や150%といった過飽和状態では、空気中に含まれる水分は結露して液体となります。

身近な例を挙げますと夏場冷蔵庫から冷たい缶ビールを取り出すとすぐに水滴がつきます。
車や家で冷房を効かせると窓ガラスが曇り、水滴がつきます。
これらの理由は共通で缶ビールに水滴がつくのも、窓ガラスが曇るのも、周辺の空気が缶や窓ガラスで冷やされることで空気中の水分が過飽和となって水滴がつくのです。

ここで一度用語について整理をしておきます。
露点温度=水蒸気が飽和状態に達する温度。
相対湿度=飽和水蒸気量に対し現在含まれている水蒸気量の比率を表す。
天気予報等でよく耳にする本日の湿度はこの相対湿度を表しておりますので、温度が温かく湿度が低い日は水分が気体としてより多く存在できるので洗濯ものもよりよく乾くのです。

では圧縮空気からは何故ドレンが出るのでしょうか?
それはコンプレッサーが空気を吸い込む際に一緒に大量の水蒸気も吸い込み圧縮する為に、圧縮空気には多量の水分が含まれる事になります。
コンプレッサーが空気を圧縮する時には断熱圧縮が発生する為に空気の温度も上昇しますが、ここでも飽和した分はドレンとして出てきます。
また温度上昇した空気はエアタンクや配管等で冷やされていく過程で、各所で結露しドレンとして出てくるのです。
つまり圧縮空気中の水分は空気が圧縮される際の体積変化による飽和と、配管途中の温度低下による飽和の2つによって液化しドレンが発生します。

それではコンプレッサーで見ていきます。まず一番としてコンプレッサーは空気を吸入し圧縮します。
圧縮空気には空気中の湿気や塵埃、さらにコンプレッサーで使用したオイルやタンク・配管の錆び等が混入します。

このままでは汚い圧縮空気の為に
1.空気タンクや配管が腐食する。
2.シリンダー、電磁弁等のエアー機器の故障の要因になる。
3.エアーブロー時のドレンによる汚れ、塗装ムラ、生産品質低下等のトラブルが発生する。
ことになります。

このトラブルを解消し、必要用途に合わせた圧縮空気の品質の為に各種のクリーンエアー機器を設置する必要があります。
1.除湿を目的としたドライヤー
2.ゴミの除去を目的にプレフィルター、ラインフィルターとも言います。
3.オイルミストの除去にミクロミストフィルター
4.におい除去には活性炭フィルター
といった形が一般的です。

クリーンエアー化させると除去された不純物がドレンとして各箇所から発生しますので、ドレントラップで確実に排出する必要があります。

これら各箇所から排出されるドレンに含まれる不純物には油が混入します。
油冷式コンプレッサーは油によって潤滑・シール・冷却を行い、効率をUPしてます。
ここで消費される油は機種・世代によって大きく変わってきます。
1.レシプロ機の場合1m3あたり0.06cc
2.旧世代スクリュー機は1m3あたり0.02~0.04cc
3.新世代スクリュー機は1m3あたり0.002~0.005cc
4.オイルフリー機の場合は油を消費してない為含まれません。
ここで消費した油が水と混じりドレンとなるのです。

排出されたドレンを集めてみますといくつかの形態に分かれます。
すぐに比重分離して浮き上がる浮上油。
時間を置いて徐々に浮上する分散油。
そして油と混じり合って乳化したいわゆるエマルジョン水です。
量としてはほとんどを占めるエマルジョン水ですが、エマルジョン化したドレンは長時間放置しても自然分離する事がない為、油水分離させる為には専用の装置が必要になります。
以上でドレンについての説明を終わらせていただきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。
株式会社フクハラ 営業課